『Until the Quiet Comes』(静寂が訪れるまで)
フライング・ロータス本人曰く「神秘的事象、夢、眠り、子守唄のコラージュ」として創作された本作は、“夜行性の情緒を携えた向こう側の世界への旅”という特殊な感覚を纏っている。点滅しながら徐々に意識が遠のき、潜在意識の世界へ。焦点の合わない不可思議な感覚が訪れると、未知なる旅が始まる。作品全編を通してサウンドには緊張感が漂い、相互に作用するメロディとリズムが優雅な展開を描き出す。それらはまるでフライング・ロータスのDNAに刻まれているアート・フォームを丹念に抽出したかのようだ。コズミックなベースの重厚さとコンピューターを駆使したアレンジの融合は、これまでに音楽史上に登場したいかなる作品よりも見事で、プロデューサーとして、コンポーザーとしての飛躍的な成長を証明するだけでなく、よりディープなコンセプトが収録曲のすべての基盤になっていることを示している。また前作以上に豪華なアーティストが参加していることも忘れてはならない。
2012年リリース四枚目のスタジオアルバム!