孤高の天才=プリンス カタログ再発プロジェクト<LOVE 4EVER>最新シリーズ
生前最後のアルバムとなった2015年リリース『HITnRUN phase two』(アナログ盤)
2016年4月21日に惜しまれながらも57歳の若さで急逝、全世界のアーティストや音楽ファンに今なお多大な影響を与え続けている孤高の天才=プリンス。本作は、カタログ再発プロジェクト<LOVE 4EVER>最新シリーズ となる、彼が今から10年前の2015年12月、生前最後に発表した39枚目のアルバム『HITnRUN phase two』(ヒット・アンド・ラン フェーズ・トゥ)。
2015年2月開催の第57回グラミー授賞式で、「アルバムは今でも重要だ、書物や黒人の命と同じように」(原文"Albums still matter. Like books and black lives, albums still matter")とスピーチでアルバムの大切さを説いたプリンス。同年 9月に発表した自身38枚目のアルバム『ヒット・アンド・ラン フェーズ・ワン』(原題:HITnRUN phase one)のわずか3か月後にリリースされた同作は、若き参謀のジョシュア・ウェルトン手掛ける『ヒット・アンド・ラン フェーズ・ワン』に対し、ザ・ニュー・パワー・ジェネレーションとともに比較的トラディショナルなソウル/ファンク作法で制作されたプリンス節全開の内容で話題を呼んだ。同作の制作期間は2010年から約5年で、まったく方向性の異なる2作品を早々に揃えることで<次々に違うことを仕掛ける>という同シリーズの主旨を示したであろう名作だ。なお2015年4月にメリーランド州ボルティモアで黒人男性フレディ・グレイが移送時に警官から暴行を受けて亡くなるという事件が発生し、その追悼と抗議の意味を込めて4月30日にレコーディングされたのが同アルバム1曲目の「Baltimore」。デトロイトのR&Bシンガーであるエリン・アレン・ケインをフィーチャーし、翌5月には配信シングルとして登場したこのプロテスト・ソングが、本作をアルバムとして束ねるカギとなっている。
プリンスは2015年に「"HITnRUN"はまるで今日のことのように聞こえる」("HITnRUN sounds like today.")と語っていたが、リリースから10年経った今も、その言葉通りアルバムもメッセージも全く風化することなく、さらに時空を超え、未来へと受け継がれていく。