多摩美術大学の同級生で結成されたヒップホップグループTOKYO HEALTH CLUBといえば、これまでその音源も活動のスタンスも多くは”ユルい”という言葉で形容されてきたが、昨年リリースされたセカンドアルバム『HEALTHY』以降は、いわゆる個人の遊びレベルから脱却し、現行のジャパニーズヒップホップ、あるいはインディーミュージックシーンを語る上で欠かすことのできない重要な立ち位置を確立、ある種の”凄み”までを感じさせる大きな成長を遂げた。そのきっかけとなったのは間違いなく先述の『HEALTHY』に収録された珠玉のシティーポップナンバー”CITYGIRL”のヒットと言えるだろう。人気モデルの高山都らが出演し、渋谷の街で美女達の背後を追いかけるPVもYouTube上で高視聴数を記録しているが、キャッチーなコード進行やフックの裏に、「みんなこういうのが好きなんでしょ?」といったTHCならではの皮肉めいたユーモアを忍ばせている点が、この楽曲を巷に溢れる”胸キュンソング”とは一線を画する秀逸なものたらしめている。そして今回、7インチフォーマットでリリースされる『CITYGIRL 2015』は、オリジナルの切なくも甘い雰囲気を残しながらも、新たにギターサウンドや女性ヴォーカル(THC 同様、OMKAE CLUB所属のMCpero) をフィーチャーしたリメイク版。またB面にはなんとNITRO MICROPHONE UNDERGROUNDのMACKA-CHINによるリミックスが収録されており、こちらはオリジナルに対して「分かってるよ、でもやんねー」と言わんばかりの超ドープなリミックス。まるで陰と陽のようにも感じられるこの2つの楽曲だが、それはまさに”ポップでシニカル”という本来は相反する要素を体現するTHCらしい作品となっている。Text by YOSA