『Better Living Through Chemistry』は、単にFatboy Slimのブレイク作となっただけではなく、エレクトロニック・ミュージックがメインストリームでどのような存在になり得るのか、その可能性を大きく塗り替えた作品でもある。
1996年にリリースされた本作は、UKクラブ・カルチャーが大きな転換期を迎えていた時代に登場。ビッグ・ビート、アシッド・ハウスのエネルギー、大胆なサンプリングを駆使した実験性を融合し、型破りでありながら親しみやすく、紛れもなく英国的なサウンドを作り上げた。
「Everybody Needs a 303」「Going Out of My Head」「The Weekend Starts Here」といった楽曲は、当時のアナーキーな時代精神を鮮やかに捉えると同時に、1990年代後半のポップ・カルチャーを席巻することになるサウンドの礎を築いた。
それから30年を経た現在も、Norman Cookはダンス・ミュージック界で最も息の長い、影響力のあるアーティストの一人であり続けている。Brighton Beachで開催された伝説的イベントBig Beach Boutiqueから、近年のGlastonburyやCoachellaなどでのパフォーマンスに至るまで、Fatboy Slimは世代を超えてファンを結びつけてきた。その楽曲群は今なお高揚感と遊び心にあふれ、カルチャーにおける重要な存在感を放っている。
その影響は、現在のエレクトロニック/クロスオーバー・シーンのアーティストたちにも色濃く表れている。ダンスフロアを熱狂させるエネルギー、レコードを掘り起こして素材を発見する創造性、そしてポップとしての即効性――『Better Living Through Chemistry』が切り開いたこれらの要素は、現在の音楽にも受け継がれている。
Norman CookがFatboy Slimとして活動を開始して30周年を迎えることを記念し、BMGは、同じく9月に発売30周年を迎えるデビュー・アルバム『Better Living Through Chemistry』を再発する。
2枚組CDにはボーナス・ディスクが付属し、Bサイド曲と新たに制作されたリミックスを収録。こちらにもAlexis Petridisによるライナーノーツが掲載される。
デジスリーブ 2CD仕様