南九州は鹿児島を代表する旅するラッパー泰尊/TAISONG(タイソン)最新作。
5枚目となる本作、タイトルは”薩摩キッド”。アーティストとしての転機を迎えた本作、喉にポリープが見つかり本人の一番の魅力でもある現場でのライブ活動休止を余儀なくされた中、家族や仲間で創り上げて完成したSOUL(魂)を込めた渾身のアルバム。前作とは異なり、プロデューサー陣も幅広い人選で泰尊を全面にサポート、地元鹿児島を代表するビート職人OWLBEATS氏とのタッグのアルバムタイトル4曲目やDMC WORLD CHAMPIONとしてもターンテーブリスト、ビートメーカーとしても定評のあるDJ YASA氏との3曲目、そして盟友MAHBIE氏が手掛ける泰尊の街の便利屋としてのテーマ曲でもあり、パート3となる8曲目は、今回はなんとラガマフィンスタイルのハーモニカでTONY THE WEED氏とヴォーカルではMARIYO氏がオリジナルラガマフィンスタイルを演出。今回のラッパーとして試練を歌ったCOGA ASTSHI氏がプロデュースした14曲目、MAHBIE氏のビートと泰尊の相性、そして歌い手のhou氏の優しい歌声に惹かれ、心揺さぶる16曲目、前作アルバムをプロデュースしたMICHITA氏のスピリチュアルなサウンドに百年樹と新たな家族の住処としての古民家との出会いをぢゃんシーラカンスと歌った18曲目で新たな泰尊のライフスタイルの幕開けで今作を閉じる。
泰尊というラッパーは家族や仲間、そして旅での出会いや経験をしたリアルな言葉を音に載せて言霊として表現する唯一無二のラッパーの一人であるだろう。九州の鹿児島の、日置という夕陽が沈む町で生まれたこのアルバムが現状の商業的な音楽が蔓延る中で、家族、友達、仲間と一緒に聴けるアルバムとしてお薦めできる心温まる作品。
今作のアートワークには版画のような絵が非常に特徴的な画風でお馴染みの漫画家 山川直人氏によるもの。
ILLUSTRATION by 山川直人
DESIGN by PEOPLEZ EXTRAVAGANZA
MAIN MIXED by Quanata Recognize
MASTERD by TSUTCHIE(SHAKKAZOMBIE)
RECORDED by Chimpanzee Studio
◆アーティストプロフィール◆
泰尊/TAISONG
1988年、鹿児島で生まれて17歳でマイクを握る。
カトマンドゥの洗礼を浴びた人間のひとり。街の便利屋。
2013年、Bar TIMELESSにて主宰イベント「Tabi no Tochu」を始め(2022年3月、22夜を迎える)これまでに4枚のオリジナル・アルバム、1枚のアナログアルバムをリリース。
次の旅路へ向かった矢先の2023初頭 声帯が炎上 沈黙 治療 人生色々 悲喜交々 だったが 無事復活 再び 唄旅 再開、再会。
2023年 12月5日に 5枚目のアルバム “薩摩キッド” リリース確定。LIFENESS RECORDINGS主宰。オフィス旅の途中。逢えばきっとわかる。
◆アーティストコメント◆
歩くようなスピードで語られる温かい声と言葉に、自分も自分の家族と仕事を大切に生きていこうと思いました。
◆山川直人(漫画家)◆
山川直人氏BLOG
制約が人を育てる。
2023年の頭、いつもうるさい彼は黙ってニコニコしていた。
喉にポリープができた彼は声を失っていたのだ。
声を出すことが出来ないストレス。
「前向きに」
ストレスの先にある手術への不安。
「前向きに」
手術の後、元のように歌えるのかわからないという恐怖。
「前向きに」
己を律し、大好きなおしゃべりを自粛し、喉を震わせないように過ごす日々。
この後の物語は、このアルバムに詰まっています。
「ラップがしたいんです。ありがとう。ありがとう。」
作中の一節に胸が熱くなった。
◆アキヒロジン◆
AkihiroWoodworks
プロデューサー/デザイナー
Instagram JIN AKIHIRO
Instagram AKIHIRO WOODWORKS
正直に書く。俺ならこのアルバムは2枚に分ける。
1曲目から10曲目(仮にAサイドとする)と11曲目から18曲目(こちらはBサイド)という風に。聴き手として好みなのは、Aサイド。この流れ、ウネリのある展開には驚かされた。この10曲で、見せるべき景色、聴かせるべき音は揃っているとも感じる。でも、溢れ出るエモーションこそが泰尊をラッパーとしてあらしめる。地元の仲間、家族への意思表示、出会った人との心の交流を綴ったBサイドもまた重要なのだ。実際、「デイ・ポリープ・ビリーバー」にはグッときた。過剰とも言える言葉、感情が込められたアルバムだ。一回や二回ですべてを聴こうとはせず、暮らしのなかで何度も再生して、その都度の発見や芽生えた感情に出会ってほしい。なんせ、こう書いている俺自身が、まだ受け止めきれていないのだ。
これが『薩摩キッド』の推薦文として適切かどうかは判断できない。まずは泰尊くん、君はどう思ったか。夜を徹して話をしよう。
◆植田浩平(PEOPLE BOOK STORE)◆
PEOPLE BOOK STORE
「通勤、通学。家事や育児。そして旅路中。その時、その人のためのメッセージに変化する傑作だと思う。僕自身、このアルバムで強い気持ちが復活しました。有り難う‼︎」
◆komiage/映像作家、旅人◆
ビビりの家族が行くキャンピングカー生活
Instagram komiage