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東京をベースにパーティーを精力的に開催している蜻蛉(トンボ)が、自身初のアルバムとなる「Tokyo Mad Cave」をリリースする。
このアルバムは、東京の小箱でディープな一夜を表現するコンセプトで制作された。近年、東京の小箱は、多様化した音楽シーン
を象徴するかのように個性豊かな店が増え、Resident Advisor等のwebメディアでも特集を組まれている。このアルバムを制作
した蜻蛉は、そうした小箱カルチャーとリンクするかのように様々なジャンルの音楽的バックグラウンドを持つ。元々バンドでギター
を弾いていたが、DJを始めるとデトロイトテクノやハウスをプレイし、その後周囲のスケーターやMCの影響でヒップホップのトラック
メイキングを始めるようになった。このアルバムには蜻蛉のそうしたバックボーンが反映され、4つ打ちの”Nerenai”や”Dead Asleep”
はテクノの影響を感じさせながらも、自身のMCをフィーチャーした”Lights Out”や”Echo Patrol”はダビーなヒップホップの煙たさ
も感じさせる。また、客演にLotus LandやSaratogaといったバンドのメンバーがドラムやディジェリドゥで参加。バンドサウンドもヒップ
ホップもテクノを経由させた蜻蛉のサウンドは、2010年代のストリート・カルチャー
の空気感を切り取った作品と言えるだろう。