品川ヒロシ監督の「Zアイランド」にて映画初出演、長渕剛10万人オールナイトライブへの参加、今やおなじみとなった「フリースタイルダンジョン」でのラスボスなど、 様々な課外活動を通して制作に入った今作。前述の「フリースタイルダンジョン」での焚巻戦の後に一気に書き上げた「あの頃じゃねえ」で自身の半生を語り、真骨頂、 お家芸極まれり的な「DA MA RE」、「寝言」でニヤリ。そしてR-指定を招いてのまさかのトピックで緻密な掛け合いを繰り広げる「たちがわるい」、「三丁目の夕日」 の情景を彷彿とさせる夕暮れチューン「ビビリながら」、ヒップホップとの関係性を、擬人法を用いて憎悪と愛情入り交じり生々しく後味が悪いほどエグく描写した 「なにもない」、エモーショナルなクロージングチューン「円」など、曲毎のトピックの着眼点や振れ幅もさることながら、更にマクロに見ていくと、言葉の端々の 「切れ味」も見逃せなく、この2つのファクターは紛れもなく「般若が般若たる所以」であり、それを改めて2016年に体現した1枚、といえるだろう。
また、今回のリリース形態は3種類となり、通常の1枚組の他、ミュージックビデオが5本入ったDVD付属の2枚組、インストCD付属の2枚組がラインアップされている。限定盤①のDVDに収録されるミュージックビデオは、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのHAVIT ART STUDIOが手掛ける「あの頃じゃねえ」、過去作「はいしんだ」で、 般若とそのギャグセンの同期っぷりを見せた奇才・泰太郎(やすたろう・現在はKODONA VISION名義で活動)による「寝言」を、ZORN「Reverse」でMVデビューを果たし、その後に続く「葛飾ラップソディー」、「My life」や昭和3MCチューンでの「GO」、「HUNGRY」等を立て続けに手掛けた新進気鋭の飛沫(しぶき)が「月の真ん中」を制作 、様々なクライアントの様々なオーダーに対応し、かつ独自の作風に落とし込む映像マエストロ=佐々木堅人による「ビビリながら」、そしてアンオフィシャルでYouTubeに アップされていた「タケダ、ラップ辞めるってよ。」のMVを観た般若が、そのセンスにシンパシーを感じ「正式に頼みたい」と、あらゆる手段を使用してコンタクトを探り、 ようやく取り付けた末のオファーに対して「本当に申し訳ありませんでした、でも今回の話は寝耳に水・・・」と言いつつ快諾したという、米食(べいしょく)による マンガMV「DA MA RE」の5本となっている。限定盤②のインストCDもマニアにはたまらない仕様。